2022/08/16

株の税金について知ろう

株式投資をすると利益が出る場合もあれば、損失が出てしまう場合もあります。利益が出た場合は、税金を納めなければいけないということを忘れてはいけません。

今回は、株式投資をした時に税金がかかることや、状況によって税金の有無が変わることについて解説していきます。さらに、確定申告に関してもご紹介するので、株式投資を始めようと考えている人はぜひ参考にしてください。

株式投資をした時に税金はかかる?

株主投資をした場合、絶対に税金がかかるというわけではありません。配当金や売却益といった利益があった人であれば、税金を支払わなければいけないのです。

上場株式などの配当金に関しては、配当所得とみなされるので20.315%の税率が課税されます。ただし、源泉徴収のみとなっているので申告する必要はありません。確定申告をするのであれば、配当控除が適用となる総合課税になります。

また、申告分離課税も選択可能です。上場株式を売却することで得た利益は、上場株式等の譲渡所得などに含まれます。税率は20.315%で、申告分離課税となります。譲渡損益は1月1日~12月31日までの1年間で上場株式などを売却した収入から、購入代金や手数料などの費用を差し引くことで算出できます。

確定申告は、原則として必要なものです。損益通算で控除できない損益は、3年間の繰越控除の対象になるので覚えておきましょう。

ただし、特定口座またはNISA口座を開設していれば、税金に関する負担を軽減できます。特定口座で「確定申告あり」を選択していれば、譲渡益に課されるはずの税金が源泉徴収されるためです。源泉徴収で納税が完了となるため、確定申告をせずに済みます。

また、配当や譲渡損なども自動で損益通算されて、証券会社側で税金の納付や還付を行ってくれます。

状況によって税金の有無が変わるから要注意!

株式投資でかかる税金は、それぞれの状況によって異なります。続いては、状況ごとにどのような税金がかかるのか解説していきます。

株の配当を得た人

株の配当を得た人は、確定申告が必要となります。上場株式等の配当などは、申告費用、申告分離課税での確定申告、総合課税という3つの申告方法があります。

しかし、特定上場株式等の配当以外に該当する場合は、総合課税の選択ができないので注意が必要です。申告分離課税で確定申告をする際は、配当控除が適用となりませんが、上場株式等の譲渡損失と損益通算することは可能です。

株を売って利益を得た人

株を売って利益を得た人は、譲渡によって生じた損益を計算し、確定申告を行う必要があります。源泉徴収ありの特定口座またはNISA口座であればその限りではないので、申告をしなくても問題ありません。

売却益にかかる税金は、所得税が15%、復興特別所得税が0.315%、住民税が5%の計20.315%となっています。売却の所得額は、譲渡した金額から必要経費となる所得費と譲渡費用を差し引いたものとなります。

利益が出た時は基本的に確定申告が必要となりますが、取引口座が特定口座またはNISA口座である場合とサラリーマンなどで売却益が20万円以下の場合はする必要がないことを覚えておきましょう。

株を売って損失が出てしまった人

株を売って損失が出てしまった人は、税金がかかることがありません。また、同じ年に他の取引で生じた売却益や配当と相殺できる「損益通算」という仕組みになっています。

他で利益が出ている場合に損益通算を行うと、利益や配当金から損失を差し引くことができます。損益通算によって所得税を減らせるというメリットも生まれるのです。

損益通算をしてもプラスに転じない場合は、翌年以降の3年間で損益通算できます。これは「繰越控除」と呼ばれているものです。

確定申告を怠るとどうなってしまう?

一般口座で株の取引をしている場合に利益が出たら、基本的に確定申告が必要となります。もしも、確定申告を怠ってしまったらどうなってしまうのでしょうか?

国税庁は、確定申告の期限に間に合わなかったら期限後申告になるとしています。期限後申告だと自分で気が付いた場合も、税務調査で指摘されてしまった場合も、ペナルティの対象です。具体的にどのようなペナルティがあるのかご紹介します。

無申告加算税と延滞税が課せられるケース

無申告加算税は、期限後申告だとみなされた場合に支払わなければいけない税金です。無申告加算税は、納付すべき税額が50万円までなら15%、50万円を超える部分に関しては20%の割合をかけて算出された金額となります。

税務署による調査を受ける前に自主的に期限後申告を行った場合は、無申告加算税が5%の割合をかけて算出された金額まで負担軽減されます。無申告加算税を支払わなければいけないことに変わりはありませんが、大幅に負担を軽減できるので自主的に申告すべきだと言えるでしょう。

また、申告期限の翌日から納付するまでの日数によって延滞税も追加で支払わなければいけません。延滞税は、利息に相当するものです。

延滞税の税率は、申告期限を過ぎてから2ヶ月までは年率2.6%、2ヶ月を過ぎると年率8.9%となります。いずれの場合も、該当する年度の1月1日~12月31日までが前提となっています。

例えば、100万円の税金を申告し忘れてしまって自主申告したケースだと無申告加算税は100万円×5%=5万円となります。1年間延滞があったのであれば、最初の2ヶ月が100万円×2.6%×60/365=4,273円、2ヶ月を超える部分に関しては100万円×8.7%×300/365=74,369円です。無申告加算税と延滞税を合わせると、128,600円も多く支払わなければいけないことになってしまいます。

延滞税だけ課せられるケース

期限後申告から1ヶ月以内に自主的に行われ、期限内に申告をする意思があったとみなされる場合は、無申告加算税が課せられることはないのです。ただし、一定の場合に該当しなければいけないので必ずしも支払わなくて良いと断言はできません。

無申告加算税が課せられないケースだと認められた時は、延滞税のみの支払いとなります。20日間遅れて申告した場合だと、100万円×2.6%×20/365=1,400円です。

重加算税が課せられるケース

帳簿の隠蔽などがあった場合は、悪質だとみなされます。状況によっては、重加算税が課せられる場合もあります。加算税は、本来納付しなければいけなかった金額に40%をかけ合わせて算出された金額です。納付するまでの期間に応じて延滞税も追加となります。

例えば、100万円の税金だと重加算税は100万円×40%=40万円となります。1年間延滞があったのであれば、最初の2ヶ月が100万円×2.6%×60/365=4,273円、2ヶ月を超える部分に関しては100万円×8.7%×300/365=74,369円です。重加算税と延滞税を合わせると、478,600円も余計に支払うことになってしまいます。

滞納してしまったケース

納付期限を過ぎてから納付する様子が見られない場合、税務署から督促状が送られてきます。督促状が送ら手からも納税がないと、税務署に対する説明や書類の提出などを求められる場合があります。

滞納している金額が大きかったり、未納期間が長期化したりしているケースでは、財産の差し押さえなどの強制執行となるのです。財産などが差し押さえだけではなく、延滞税も支払わなければいけません。

株式投資で利益を得た場合、解説している口座によって確定申告が必要となります。

源泉徴収ありの特定口座やNISA口座などは問題ありませんが、一般口座の場合は注意が必要です。

きちんと税金を支払わなければペナルティが課せられてしまいます。 余計な支払いをしなくて済むように、適切な手続きを忘れずに行うようにしましょう。

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