2022/08/16

NISAと積立NISAの違い

NISAと積立NISAは、投資の方法として注目度が高まっています。しかし、この2つはどのような違いがあるかわからないという人も多いでしょう。

違いがわからなければいくら魅力的であっても不安に感じてしまうものです。そこで今回は、NISAと積立NISAの違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。

NISAと積立NISAは何が違う?

はじめに、NISAと積立NISAにはどのような違いがあるのかご紹介します。

投資できる期間

投資できる期間はNISAが最長5年、積立NISAが最長20年となっています。この期間は非課税期間を示しています。

「最長期間」と表記されているのは、NISAだと5年目の年末、積立NISAは20年目の年末に運用が終了するからです。1月に投資を始めた場合も、12月に投資を始めた場合も、非課税期間が終了するタイミングは同じです。

また、NISAは2023年まで、積立NISAは2042年まで投資可能となっている点も把握しておかなければいけないポイントのひとつです。2024年以降は、新NISAへ移行できるのでNISAが完全になくなるというわけではありません。

非課税投資額

NISAは年間120万円まで(合計600万円)、積立NISAは年間40万円(合計800万円)が非課税投資額となっています。年間というのは、1月1日~12月31日までの期間を指します。

いずれも一度使った非課税枠を再利用することは不可能です。翌年に余った非課税枠を繰り越すこともできません。

投資対象となる商品

NISAは、株式、株式投資信託、ETF、REITが投資対象となります。積立NISAは、金融庁が定めた要件を満たしている株式投資信託、ETFが投資対象です。このように投資できる商品が異なります。

金融庁が定めた要件を満たしている株式投資信託というのは、初心者でもベテランでも資産形成がしやすい商品を指します。手数料が低く、長期的なスパンで継続して積み立てることで恩恵を得られるのが特徴です。

ロールオーバー

NISAはロールオーバーができますが、積立NISAはロールオーバーができません。ロールオーバーというのは、NISAの非課税期間が終わる際、所定の手続きをすると持っている金融商品を翌年の非課税枠に移動できるという仕組みです。

ロールオーバーを活用すると、NISAはさらに最長で5年間運用できます。つまり、トータルで10年間運用できるということになります。

最初の5年が終わった時の評価額が150万円となっていた場合、全額ロールオーバーできるのです。ただし、120万円を超えるため、非課税枠をすべて使い切ります。その年は追加で新規の投資はできないという点に注意しましょう。

NISAと積立NISAには、このような違いがあることを覚えておきましょう。投資可能な期間などが異なるため、どのような目的で投資したいのか、どのくらいの期間をかけて投資したいと思っているのか、などをしっかり考えておく必要があります。

NISAのメリット・デメリット

続いては、NISAのメリットとデメリットについて解説していきましょう。

メリット

利益はすべて非課税になる

購入した株式や投資信託が値上がりした時に売却したり、配当金や分配金を受け取ったりすることにより、利益が得られます。通常の株式投資などであれば、税金が20.315%引かれます。しかしNISAの場合は、税金が引かれないので得た利益はすべて資産になるのです。

購入回数に制限がないからリスクの分散ができる

NISAは、上限額に収まる分であれば何回でも投資できます。購入できる商品数にも制限が設けられていないため、1つの銘柄に全額つぎ込むことやいくつもの銘柄に少しずつ分散投資することなど、好きな投資方法を取り入れられます。複数の銘柄に分散すれば、投資のリスクを分散できるので、後者を選択する人が多いです。

デメリット

損益通算ができない

通常の投資であれば、投資用口座のうち1つで利益が出て、もう1つで損失が出てしまった場合、利益と損失を相殺する「損益通算」ができます。しかしNISAは、損益通算が行えません。

NISA口座で損失が出て、NISA以外の課税口座で利益が出たとしても、節税効果は期待できないのです。他の投資と同じように損益通算ができると思って運用していると後悔する可能性もあるので注意してください。

繰越控除が適用にならない

繰越控除が適用にならないことも、NISAのデメリットとして挙げられます。繰越控除は、金融商品を売って損失が出てしまった時に、損失分を3年間繰り越せるという制度です。

損失分を申告することにより、繰越控除が適用となります。翌年以降の税負担を軽減できるため、やっておくべきだと言えるでしょう。

しかし、NISAの場合は利益に対して税金がかからないため、譲渡損失や売買損失は税務上なかったものとしてみなされます。そのため、繰越控除は適用となりません。

積立NISAのメリット・デメリット

最後に、積立NISAのメリット・デメリットについて解説していきます。

メリット

少額から投資できる

積立NISAは、100円からという投資できます。非常に少額からスタートできるので、まとまったお金が用意できない場合でも始めやすくなっています。

無理のない金額で資産運用したいと考えている場合におすすめの方法です。途中から積立額を変更することもできるので、金額をアップしたいという場合も対応可能です。

リスクを分散できる

投資をする上で、安く買い、高く売ることが理想とされています。言葉にすると簡単そうですが、実際にやってみると難しいことを実感するはずです。そのような時におすすめなのが、ドルコスト平均法という方法です。

ドルコスト平均法は、定額で長期的に商品を購入することにより、時間を分散するという方法になります。短期的なマーケットのトレンドの影響を受けにくくなるのが大きなメリットです。

積立NISAは、毎月決まった金額を積み立てるため、自然とドルコスト平均法を実践できます。その結果、投資によって生まれるリスクを分散できるのです。基準価格が高い時は購入する数が少なくなり、低い時はたくさん購入します。

デメリット

投資できる商品が限られている

積立NISAは、投資できる商品が限られているので、それがデメリットだと感じてしまう人もいます。TOPIXや日経平均株価、S&P500などに連動している知名度が高いインデックスファンドが中心となっています。

国内外の個別株式やREITに投資したいと考えている人には向いていません。個別株式に投資したいなら、積立NISAではなくNISAを選ぶようにしましょう。

元本割れしてしまうリスクがある

元本割れしてしまうリスクがある点も、積立NISAのデメリットだと言えます。金融庁が推奨している資産形成方法ですが、投資なのでもちろん元本割れしてしまうリスクは付き物です。

投資は自己責任とみなされるため、いくら金融庁が推奨していたとしても損失分を補償してもらうことはできません。しかし、積立NISAは長期投資なので時間分散でリスクを減らしたり、複利効果の恩恵を受けたりでき、長いスパンで見れば元本割れを起こしてしまう可能性は低いと言われています。

 

NISAと積立NISAは、非課税枠があることなど類似する部分もあります。しかし、投資期間などに大きな差があるため、どちらで投資をするかしっかりと考えなければいけません。 また、NISAと積立NISAは併用ができない点も注意点だと言えます。双方のメリットとデメリットも理解していれば、どちらにすべきか選びやすくなるでしょう。

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