2022/08/16
NISAのやり方
2014年からスタートしたNISAは、投資で獲得した利益が最長5年間非課税になる個人投資家に向けた税制優遇制度です。通常、投資の利益には20.315%の税金がかかりますが、それが非課税になるので初心者も安心して投資を始めることができます。しかし、NISAはどうやったら始められるのか、やり方を知らない投資初心者は多いでしょう。
NISAの種類には積み立てNISAやジュニアNISAもありますが、今回は一般NISAのやり方について解説します。NISAを始めたいと考えている方は参考にしてみてください。
NISAの基本概要
まずは一般NISAがどんな制度なのか、基本概要を確認していきましょう。
- 利用できる対象者:日本国内に住む18歳以上の人(口座を開設する年の1月1日時点)
- 新規に投資可能な期間:10年間(2014~2023年)
- 非課税の期間:投資した年から最長5年間
- 年間投資上限額:120万円
- 対象の投資商品:上場株式、ETF、REIT、株式投資信託など
- 投資方法:一括買付、積み立て
- 資金の引き出し:いつでも引き出し可能
- 金融機関:1人1口座(毎年変更可能)
NISAは、年間120万円まで投資の利益が最大5年間非課税になります。毎年120万円ずつ5年間投資し続けた場合、最大600万円まで配当金や売買益の税金が非課税になります。
また、対象となる投資商品は株式上場やETF、REIT、株式投資信託など幅広いです。さらに運用している商品はいつでも売却できます。その年の非課税枠が開いている場合は、得た売却資金を投資元本にNISA口座で運用することも可能です。
NISAの始め方
NISAを始めるためには、NISA口座の開設が必要です。次にNISA口座を開設する手順をご紹介します。
証券会社、または銀行を選んで口座開設の申し込み
まずはNISA口座を開設したい証券会社か銀行を選び、口座開設を申し込みます。なお、NISA口座の開設では、証券会社なら証券口座、銀行であれば投資信託口座など特定口座の開設手続きも同時に行われます。銀行の場合は、総合口座(普通預金口座)がない場合は新規開設も必要です。
すでに証券口座や総合口座・特定口座を持っている場合は、NISA口座の開設手続きのみで完了します。口座開設の申請は店頭、またはWeb、郵送と色々あるので、金融機関ごとに申請方法や必要な書類を確認しておきましょう。
主に提出する書類は口座開設の申請書、運転免許証や住民票などの本人確認書類となります。そのため、NISA口座の申請の際に住民票の写し(発行から6ヶ月以内)の提出も必要なので用意しておきましょう。
税務署の確認後、口座開設
申請後、金融機関から税務署にNISA口座の開設申請を行います。税務署はNISA口座の重複がないか確認を行い、問題がなければ金融機関に確認証を交付します。
確認の完了後、金融機関経由で口座申請者の元にマイページにログインするためのIDやパスワードなど関連書類が郵送などで届きます。これで口座開設の完了です。
投資商品を購入して運用開始
NISA口座の開設が完了すると金融商品を購入できるようになります。取引するための資金を口座に入金して、金融機関にログインしましょう。NISAページなどからNISAの注文画面から投資したい商品を探し、実際に購入して運用を始めてみてください。
NISA口座を作る金融機関選びのポイント
NISA口座は色々な金融機関で開設することができます。しかし、複数の金融機関でNISA口座を何個も作ることはできないので、どの金融機関で口座を選ぶかが重要です。ここでNISA口座の金融機関選びのポイントをご紹介します。
投資商品を確認する
取り扱っているNISA商品のラインナップは金融機関によって異なります。例えばNISA口座を開設できる銀行でも株式取引は扱っていない、投資信託の商品が豊富な投資会社でも、積み立ての対応がないという可能性もあります。
まず自分が投資したい商品を扱っているかどうかを確認しましょう。初心者の場合、具体的に購入する商品までイメージできていないことが多いので、幅広い商品を扱っている金融機関を選ぶのもおすすめです。
販売手数料などのコストを確認する
せっかく非課税で投資を行うのであれば、運用利回りを最大化にするためにも投資のかかるコストに注目して金融機関を選びたいところです。株式投資では取引手数料、投資信託では買付手数料などが発生します。
この手数料は金融機関によって異なるので、少しでも手数料率が低いところで口座開設ができるように比較検討していきましょう。ネット証券ではNISA口座での株取引の手数料を無料にしているところが多いです。投資信託で運用したい場合は、ノーロード投資を扱っているところを探してみるのがおすすめです。
NISAを始める上での注意点
NISAを始めるにあたり、色々と注意したいことがあります。口座開設や運用後に後悔しないためにも、知っておくべき注意点を確認していきましょう。
積立NISAと併用はできない
NISA口座は1人1口座しか持つことができないため、積立NISAと併用できません。積立NISAをやりたい場合は、手続きで切り替える必要があります。なお、毎年どちらかに変更することが可能です。
非課税枠は翌年以降に繰り越せない
年間120万円の非課税枠は翌年以降に繰り越せません。例えば、80万円しか投資していなくても、残り40万円は翌年に繰り越せないので、翌年の非課税枠も120万円のままです。
損失の繰り越しもできない
課税口座で投資して損失が出た場合、その年の損失を確定申告で控除できなかった場合は最大3年間にわたって損失を繰り越すことが可能です。繰り越した損失は、翌年以降の利益から控除することができ、これを繰越控除と言います。しかし、NISA口座の場合は損失が出ても繰越控除ができないので注意しましょう。
確定申告は必要なし
口座の開設時に税務署が非課税の確認が行っているため、NISA口座で投資する際は確定申告が不要です。ただし、非課税期間の5年が過ぎる際、ロールオーバーしなかった場合は確定申告が必要になる場合があります。
ロールオーバーとは、非課税期間が終わる際に保有している金融商品を翌日新たな非課税投資枠に移管することです。ロールオーバーすると再度5年間は非課税で運用することが可能です。しかし、ロールオーバーしない場合、保有する金融商品は課税口座となる一般口座や源泉徴収なしの特定口座に移管されるので、売却益が出た際は確定申告をしなければなりません。
NISA口座の金融機関を変更するタイミング
NISA口座は、毎年別の金融機関の変更することが可能です。ただし、その年に変更できるのは、1月以降にNISAを一度も利用していない場合に限られます。
例えば2022年1月から一度もNISAを利用していないのであれば、2022年9月までに変更手続きをすれば別の金融機関に切り替えることが可能です。しかし、1月以降にNISA口座で投資をしている場合は変更できないので、10月以降に2023年分として変更を申し出る必要があります。
2024年以降のNISAについて
一般NISAの新規投資期間は2023年12月までとなっており、2024年以降は新NISAに制度が変わります。新NISAでは2階建ての制度に変更されます。
1階部分は積立NISAの対象商品(金融庁の基準を満たしたETEを含む一定の投資信託)で積立投資を運用することが可能です。非課税期間は5年間で、非課税枠の上限は年間20万円(最大100万円)となります。
1階部分で積立投資を行った人は、2階部分を利用することが可能です。2階部分は一般NISAの対象商品で運用することになり、非課税期間は5年間となります。
非課税枠は年間102万円(最大510万円)に変更されています。なお、2019年以降にNISAで購入した分は新NISAへのロールオーバーが可能で、最長10年間は非課税で運用できます。
今回はNISAのやり方についてご紹介しました。NISAで投資を始めるためにはNISA口座が必要なので、取り扱っている商品や手数料などを比較して自分に合った金融口座を選び、開設を申請してみてください。
現行のNISAの新規投資は2023年で終了しますが、新NISAの開始時点で自動的に新NISAに設定されます。そのため、今から始めても遅いということはありません。今後のために今から資産運用を始めたい方は、NISAの運用を検討してみてください。