2022/08/16
iDeCoのメリットデメリット
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、加入することで節税できること、将来の年金を自分自身で積み立てられます。メリットもたくさんある仕組みですが、デメリットにも気を付けておかなければなりません。
また、向いている人と向いていない人も比較的はっきりしているので、iDeCoに関する理解を深めてからスタートすることが重要です。今回は、iDeCoのメリット・デメリット、向いている人・向いていない人についてご紹介します。
iDeCoのメリット・デメリット
まずはiDeCoのメリット・デメリットから解説していきます。特徴について深く理解したい方はぜひ参考にしてみてください。
メリット
積み立てしている間は節税できる
iDeCoに加入する最も大きなメリットと言えるのは、節税できることでしょう。iDeCoで支払った掛け金は、すべて所得控除の対象になります。
年末調整や確定申告を行うと、所得税や住民税の課税対象となる所得から控除されるのです。その結果、所得税田住民税の支払い負担を減らせることになります。所得税や住民税は、
課税所得=給与所得(給与収入-給与所得控除)-所得控除
という計算式で求められる課税所得に、所定の税率をかけて算出されます。配偶者や扶養家族の有無、生命保険の加入状況などによって変動するのです。
利用できる所得控除が多ければ多いほど課税所得が減っていき、所得税や住民税は抑えられます。iDeCoで毎月23,000円を支払っている場合であれば、1年間で276,000円(23,000円×12ヶ月)が課税所得から差し引かれます。
運用益に税金がかからない
iDeCoで得た運用益に税金がかからないという点も、メリットの1つとして挙げられます。通常の投資で得た利益や定期預金の利息には、20.315%の税金がかかります。この内訳は、復興特別所得税を含む所得税が15.315%、住民税が5%です。
一方、iDeCo経由で購入した投資信託の売却益、定期預金の利息には税金がかかりません。つまり、より効率的な資産運用が可能となるのです。
積み立てたお金を受け取る際に控除枠が使える
iDeCoで積み立てたお金を一度にまとめて受け取る場合は退職所得控除、分割で受け取る場合は公的年金等控除が適用となります。退職所得控除は、退職金のようにまとまったお金を受け取る時の税負担を軽減するためのものです。
公的年金等控除は、国から支給される老齢年金などを受け取る場合に適用となる控除です。例えば、60歳の人が30年間加入していたiDeCo(2,000万円)を受け取ると仮定してみます。
一度に受け取る場合は。800万円+70万円×(勤続年数-20年)という計算式で控除額を算出できます。800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円となるので、1,500万円まで非課税となるのです。
分割で10年間かけて受け取ろうと考えているのであれば、収入金額×25%+37万5,000円という計算式で算出できます。この計算式に当てはめてみると、1年あたりの受取金額は200万円×25%+37万5,000円=87万5,000円まで非課税となるのです。
デメリット
原則として60歳まで引き出せない
iDeCoは、原則として60歳まで引き出すことができません。何らかの理由でまとまったお金を用意しなければいけないとなった時でも、iDeCoで積み立てたお金は充てにできないので注意しましょう。所定の要件を満たしている場合に限り、脱退一時金を受け取れる仕組みになっています。
しかし、条件はいくつもあるので誰でも受け取れるというわけではないのです。そのため、iDeCoはあくまでも老後資金のために積み立てておくため、途中で引き出すことができないと理解しておきましょう。
加入する際や運用する際に手数料がかかる
iDeCoに加入する際や加入後に運用する際などに手数料がかかるのもデメリットだと感じてしまう人が多いポイントです。iDeCoの手数料には、口座を開設した時に金融機関に支払う手数料、iDeCoの統括機関となっている国民年金基金連合会に支払う手数料の2つがあることも覚えておきましょう。
国民年金基金連合会に支払う手数料は、いずれの金融機関で口座を開設した場合にも必要となります。
こんな人はiDeCoに向いている
iDeCoはメリット・デメリットが明確であることから、人によって取り入れた方が良い場合とそうでない場合が分かりやすいです。そこで、どのような人がiDeCoに向いているのかご紹介します。
公務員
公務員として働けば退職金がたくさんもらえるというのは、過去の話です。現在は、退職金の水準が引き下げとなっているので、実は厳しい状況にあります。そのため、2017年1月からは公務員もiDeCoに加入できるようになりました。
公務員の場合、掛け金の上限は毎月12,000円となっていますが、22歳から60歳まで継続すれば元本は5,472,000円になります。退職金が減額した分を少しでも取り戻したいなら、早めにiDeCoを始めた方がよいでしょう。
自営業やフリーランスで仕事をしている人
自営業やフリーランスで仕事をしている人がiDeCoに加入をすることによって、毎月68,000円と他の業種よりも優遇されています。
国民年金のみの加入だと、会社員と比べて受け取れる年金額は大幅に少なくなってしまいます。老後資金に関する危機感を持つべきですが、意識していない人も多いのが現状です。
しかし、国民年金だと満額支給でも1年間に80万円ほどと資金が足りなくなると言われています。会社員で国民年金と厚生年金に加入している人なら1年間で200万円ほど受け取れるので、経済状況の差は大きくなるのは当然です。そのような状況から抜け出すためのも、老後に向けた資産形成のための手段として利用できます。
こんな人はiDeCoに向いていない
iDeCoに向いている人が利用すれば、大きな恩恵が期待できます。しかし、すべての人がiDeCoの恩恵を受けられるわけではありません。最後に、向いていないのはどのような人なのかご紹介します。
貯金額が少ない
貯金額が少ない場合は、iDeCoに向いていません。iDeCoは長期的な資産形成が目的となっているので、原則として60歳まで引き出せません。
急にまとまった出費が必要になって何とかしたいと思っても、iDeCoで積み立てているお金は使えないのです。そのため、急な出費に対応できなくらいの貯金額である場合は、貯蓄優先すべきです。
直近でお金が必要になる
直近で、マイホームの購入や結婚式、子どもの進学など大きな出費があるという場合も、iDeCoの開始を慎重に判断するようにしましょう。マイホームの購入などお金の使い道がある程度決まっているのであれば、iDeCo以外の方法で資産運用することを検討してみてください。資産運用方法で迷っている場合は、金融機関など専門的な知識を持つスタッフが在籍している場所に相談してみるのもおすすめです。
納税額が元々少ない
納税額が少ない人は、iDeCoを始めたとしてもそこまで大きな恩恵を受けることができません。iDeCoの掛金は、すべて所得控除の対象になります。
課税所得を下げずに支払うべき税金を減らせる方法なので、支払い税金が少なければメリットは感じにくいです。そのため、専業主婦や配偶者の扶養内で働いている人、住宅ローン控除が適用になっている人など、収入が一定以下だったり、控除額が大きくて支払う税金がなかったりする場合は、向いていないとみなされます。
iDeCoは、将来に備えて資金を貯めておける魅力的な資産運用方法です。メリットも大きいですが、デメリットがあることも忘れてはいけません。また、向いている人と向いていない人がはっきりしているので、自分自身がどちらに該当するのかということも確認してから始めるようにしましょう。